ミッション・ビジョン・バリューが人事労務にどう関わってくるのか
先日、商工会主催の創業塾で「人事労務に関する基礎知識」というテーマでお話しする機会がありました。その際、創業ということで、他の講義でミッション・ビジョン・バリュー(MVV)について取り上げられていること思います・こうしたMVVは単に事業や事業計画・お客様との関係だけでなく、人事労務にも深く関わるものだということをお伝えしました。今回は、このミッション・ビジョン・バリューが人事労務とどのように関わってくるのかを整理してご紹介します。
MVVとは何か?簡単に説明すると
MVVとは、会社の「心」を3つの言葉で表したものです。
- ミッション(Mission):会社が何のために存在するのか?何をしたいのか?
- 例:「地域の人々に健康で快適な生活を提供する」
- ビジョン(Vision):将来、どんな会社になりたいのか?
- 例:「3年後には、地域で一番信頼される会社になる」
- バリュー(Value):どんな価値観を大切にするのか?
- 例:「お客様第一」「誠実さ」「チームワーク」
なぜMVVが必要なのか?身近な例で・・・。
例1:地域の商工会や同業者団体に例えると
地域の商工会や同業者団体、町内会などの組織を思い浮かべてください。
MVVがない場合:
- 新しく入ってきた人に「この組織は何を目指しているの?」と聞かれても、みんなバラバラな答えをします
- 「なんとなく参加している」「付き合いで」という理由で参加している人は、すぐに辞めてしまいます
- 活動の方向性がバラバラで、まとまりがありません
- 会議でも「結局、何をしたいのかわからない」という状態になりがちです
MVVがある場合:
- 「私たちは地域の商店街を活性化し、地域の人々に愛される商店街にすることを目指します。3年後には、地域の皆さんが足を運びたくなる商店街にしたい。大切にしているのは、お客様第一と地域への貢献です」
- このように明確だと、共感する人が集まり、長く続けたいと思えます
- みんなが同じ方向を向いて活動できます
- 会議でも「この活動は商店街の活性化につながるか?」という基準で判断できるようになります
例2:中途採用に例えると
転職活動で、新しい会社を選ぶときを思い浮かべてください。
MVVがない会社:
- 面接で「うちは雰囲気のいい会社です。」としか言えない
- 何がしたい会社なのか、どんな価値観を大切にしているのかわからない
- 「給料がいいから」「条件がいいから」という理由で入社した人は、条件が変わるとすぐに辞める
- 入社後、「この会社で何を目指しているのか」がわからず、モチベーションが下がる
MVVがある会社:
- 「私たちは、お客様に最高のサービスを提供するために存在します。3年後には、業界トップの顧客満足度を達成したい。大切にしているのは、お客様第一とチームワークです」
- このように明確だと、「この会社で自分の経験を活かしたい!」と思えます
- 価値観が合う人が集まり、長く働き続けたいと思えます
- 入社後も、会社の方向性が明確なので、自分の仕事の意義を理解できる
会社にとってのMVVのメリットを、もっと簡単にお話すると
1. いい人が集まるようになる
わかりやすく言うと:
- 会社の「個性」や「魅力」がはっきりするので、共感する人が集まります
- 中途採用の面接でも、「この会社で働きたい理由」が明確に伝えられるようになります
具体例:
- 以前:「給料がいいから」「条件がいいから」という理由で入社 → 条件が変わると辞める
- 以後:「この会社の理念に共感したから」「この会社のビジョンに自分の経験を活かしたいから」という理由で入社 → 長く働き続ける
2. 人が辞めにくくなる
わかりやすく言うと:
- みんなが「何のために働いているか」を理解できるので、モチベーションが上がります
- 評価の基準が明確になるので、「なんであの人が評価されるの?」という不公平感が減ります
- 中途入社者も、入社後すぐに会社の方向性を理解でき、自分の役割を把握しやすくなります
具体例:
- 以前:仕事の意味がわからず、「なんとなく働いている」状態 → すぐに辞める
- 以後:「この会社の目標を達成するために働いている」と理解できる → 長く働き続ける
- 中途入社者も、入社時にMVVを説明され、自分の経験やスキルをどう活かせるかが明確になる
3. 判断が速くなる
わかりやすく言うと:
- 何か決めるときに、「これは会社のMVVに合っているか?」という基準ができます
- 会議で「どうしよう?」と悩む時間が減ります
具体例:
- 以前:新しい企画を考えるとき、みんなバラバラな意見で時間がかかる
- 以後:「この企画は会社のビジョンに合っているか?」という基準で判断できる → すぐに決まる
4. 会社が成長する基盤ができる
わかりやすく言うと:
- 「3年後にこうなりたい」という目標が明確になると、今何をすべきかがわかります
- 問題が起きてから対処するのではなく、目標に向かって進むことができます
具体例:
- 以前:問題が起きるたびに、その場しのぎの対応をする → 根本的な解決にならない
- 以後:3年後の目標から逆算して、今やるべきことが明確 → 計画的に進められる
まとめ:MVVは会社の「コンパス」
MVVは、会社にとって「コンパス」のようなものです。
- コンパスがない場合:どこに向かっているかわからず、迷子になってしまいます
- コンパスがある場合:目指す方向が明確で、迷わず進むことができます
会社も同じです。MVVがあることで、みんなが同じ方向を向いて、目標に向かって進むことができるようになります。
だからこそ、まだミッション・ビジョン・バリュー(MVV)が明確になっていない、言語化されていない場合は、今こそきちんと言葉にすることが大切です。そして、すでにMVVがある場合も、「今の自社の現状や目指す姿に合っているか?」を一度見直してみてください。MVVは、時代や状況に合わせて、今にフィットさせることが何より重要です。
特に、人事労務の観点から見ると、MVVは「人が集まる」「人が辞めない」「人が育つ」という、人事労務の根幹に関わる重要な要素です。事業計画だけでなく、人事労務の基盤としても、MVVの構築をぜひ検討してみてください。
最後に――MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の言語化や見直しにご興味のある方は、ぜひお問い合わせフォームからご連絡ください。
ご希望の方には、MVVをチェックするためのシートを無料でお送りします。お気軽にご相談ください。

