令和8年10月施行見込み!カスハラ対策基本方針を今すぐ作るべき理由

はじめに

今月も金融機関の店長が集まる団体で、カスタマーハラスメント対策措置の義務付けに関するお話をさせていただく機会がありました。そして、最近の報道によると、カスタマーハラスメント対策措置の義務化を含む労働施策総合推進法の施行が、令和8年10月1日からの見込みという情報が出ています。

令和7年6月に法律が改正され、いよいよ施行まで約11ヶ月となりました。

今、地方紙を見ていると、「どこどこの会社がカスタマーハラスメントの対応措置、対応の基本方針を制定し、これからマニュアルを整備していく」という記事が次々と掲載されています。

少しずつかもしれませんが、多くの会社でカスハラ対応指針が作られているのです。

年間4,000件の相談に対応する企業の決断

先日、ある地方紙で興味深い記事を見つけました。
ある企業が「カスタマーハラスメント対応の基本方針」を策定したという内容です。

なぜこの企業は基本方針を作ったのか

この企業には、お客様相談窓口があり、年間4,000件もの電話に対応しています。新聞記事によると、基本方針を策定した目的は明確でした。

「従業員が安心して働ける環境を守るため」

相談窓口には、日々さまざまな問い合わせやクレームが寄せられます。その中には、理不尽な要求や威圧的な言動を伴うものもあります。年間4,000件という数字は、1日平均で約11件です。従業員は毎日、相当な心理的負担を抱えながら業務に当たっているのです。

この企業の今後の取り組み

基本方針の策定はゴールではなく、スタートです。

この企業は今後、以下の取り組みを進めていくとのことです:

  1. 社内研修の実施
  • 従業員にカスハラ対策を周知徹底
  • 実際の対応スキルを習得
  1. 対応マニュアルの整備
  • 具体的な対応手順を明文化
  • 現場で迷わず使えるマニュアル作成

この「基本方針→研修→マニュアル」という段階的なアプローチは、これから取り組む企業の参考になるモデルケースと言えるでしょう。

なぜ今、カスハラ基本方針が必要なのか

理由1:法改正による義務化が目前

令和7年6月の法改正により、カスタマーハラスメント対策措置が義務化されることが決定しました。

施行見込み:令和8年10月1日(2026年10月1日)

施行まで約11ヶ月しかありません。

「まだ時間がある」と思うかもしれませんが、基本方針の策定、社内への周知、研修の実施、マニュアルの整備と進めていくと、決して余裕のある期間ではありません。

理由2:従業員保護が経営の最重要課題に

人材不足が深刻化する中、従業員を大切にすることが、経営の最重要課題となっています。カスハラによって従業員が心身の健康を害し、退職に至るケースも増えています。優秀な人材を確保し、定着させるためには、「この会社は従業員を守ってくれる」という信頼が不可欠です。基本方針の策定と公表は、従業員に対する明確なメッセージとなります。

理由3:社会的な要請と企業の評判

カスハラ問題への社会的な関心が高まっています。

地方紙に企業の基本方針策定が掲載されるのは、それだけ社会的に注目されている証拠です。

「従業員を守る企業」として評価されることは、企業の評判向上にもつながります。

逆に、対策が遅れれば、「従業員を守らない企業」というネガティブな評価を受けかねません。

小さな会社こそ基本方針が必要な理由

「基本方針なんて、大企業がやることでしょう?」

そう思われるかもしれません。しかし、カスハラは企業規模に関係なく発生します。むしろ、小規模事業者の方が、少数の従業員で対応しているため、一人ひとりの負担が大きくなりがちです。大企業であれば、複数の担当者で対応したり、専門部署に引き継いだりできます。

しかし、小規模事業者では、経営者や少数の従業員が直接対応せざるを得ません。理不尽なクレームや威圧的な言動に、一人で向き合わなければならないのです。だからこそ、小さな会社にこそ、「会社として従業員を守る」という明確な方針が必要なのです。

基本方針があることのメリット

  1. 従業員の心理的安全性
  • 「会社が守ってくれる」という安心感
  • 一人で抱え込まなくてよい
  1. 対応の統一
  • 従業員によって対応がバラバラにならない
  • 「方針に基づいて対応している」と説明できる
  1. 抑止効果
  • 店頭掲示やHP掲載で事前に周知
  • 理不尽な要求を減らす効果
  1. 法令遵守
  • 令和8年10月の義務化に対応
  • 行政指導のリスクを回避

次回予告:基本方針の具体的な作り方

「基本方針が必要なのは分かった。でも、何をどう書けばいいの?」

次回の記事では、小さな会社でも簡単に作れる基本方針の具体的な作り方をご紹介します。