企業にカスハラ対策義務

2024年12月17日の北日本新聞朝刊の記事を、ご紹介します。

厚生労働省は、すべての企業に対してカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)対策を義務付ける方針を示しました。この取り組みは、従業員を保護し、安心して働ける職場環境を整備することを目的としています。

記事によると、厚生労働省が示した方針案では、カスハラを以下の3つの要素で定義しています。

  1. 顧客や取引先、施設利用者、その他の利害関係者による行為であること。
  2. 社会通念上、相当な範囲を超えた言動であること。
  3. 労働者の就業環境が害されること。

また、企業に義務付けられる具体的な対策として、以下が挙げられています。

  • カスハラ対応方針の明確化と周知
  • 従業員からの相談に対応する体制の整備
  • 対応マニュアルの策定
  • 従業員研修の実施

これらの対策を盛り込んだ労働施策総合推進法の改正案は、2025年の通常国会に提出される予定とのことです。

さらに、記事では、カスハラ対策に加えて以下の施策も検討されていると伝えています。

  • 就職活動中の学生に対するセクハラ防止策の義務化
  • 女性活躍推進に向けた女性管理職比率の公表義務化

これらの法改正により、企業にはより具体的かつ実効性のある対策が求められることとなり、従業員の権利と健康を守るための取り組みが強化されることが期待されています。

来年の通常国会に提出され、労働施策総合推進法が改正されれば、企業もカスタマーハラスメント対策の義務化が決まります。そのためにも、各企業が対策を明確にしていく必要があります。

そして何より、今は非常に人手不足の時代です。せっかく採用した人材がすぐに辞めてしまうという問題が多く発生しています。退職理由として最も多いのが人間関係の問題であり、その中には社内でのパワハラ的な行為が含まれます。こうした問題に対してはすでに対策が進められていますが、特に接客を伴う業務では、外部からのハラスメント対策が重要です。

企業が従業員を守るためにカスハラ対策を実施し、働きやすい職場環境を整備することは、離職率を下げ、採用した人材を長く活かすためにも必要不可欠です。